日本統合医療学会九州支部会 2014/8/24

日時  2014年8月24日(日)

会場  熊本中央病院
平成26年度日本統合医療学会 九州支部会
第12回維持透析患者の補完・代替医療研究会
 


■発表演題
SMC行動医学療法と自然療法(メディカルハーブ・アロマセラピー)による
ホリスティックケアの有用性

 

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■発表者 入江泰子 (共同研究:古園井重敏先生、堤文子)

 

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【はじめに】

 

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人は生まれたときから死ぬときに向かって、さまざまな「ライフイベント」があります。

病気の際は現代医療の恩恵を多く受けています。
生命は常に成長し変化しているため、人の健康は病気を治すだけでなくその時々に適したストレスマネージメントが必要です。

「SMC行動医学療法」「自然療法」は作用が穏やかでほぼ無害なので、生涯を通じて“常に”取り入れ『ストレスマネージメント』に適しています。

  

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【方法】

 

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今回は、「現代医療」「SMC行動医学療法」「自然療法(特にメディカルハーブ、アロマセラピー)」の3つの療法を併用しました。
QOL向上や1~3次予防に向けての相乗効果を期待し、クライアントの変化を検証しながら、ホリスティックケアの有用性を考察しました。

 

 

 

 


【症例】

 

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60代一人暮らしの女性。
長年の孤独感、自殺願望、怒り、不安、トラウマ、胃潰瘍を克服した症例です。
幼い頃から両親の愛が少ない環境に育ちました。
20代の頃、失恋などをきっかけに自殺未遂を起こし精神科に入院したことがあります。
退院後も人間関係がうまくいかず、借金や孤独に悩み、いくつもの宗教をさまよいました。

家族とは口も利かない断絶常態になりました。
40代より胃潰瘍、慢性胃炎を患い、20年ほど、通院、薬物治療を続けています。
60才の時に私どものサロンに来られ、SMC行動医学療法・自然療法を受けるようになりました。

 


【ケアの実践】

 

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日頃から施術者は自分自身に「SMC行動医学療法による能力」を身につけます。
ここで作る能力がもっとも重要なカギになります。
SMC行動医学療法とは、意識・行動を変えて自己啓発や改革を行う技術です。

具体的には、記号・色・言葉などを使い“目に見えない力”をキャッチして

生命に必要なエネルギーを体内に取り込むことで、

心・気持ちが前向きになるように働きかけます。
ここで紹介している写真では、左手のマークは全生命共存のマーク。

右手のマークは、心・意識・愛に関与するエネルギーを意味しています。

こうした行動医学は施術者の誰もが同じ【能力】を持てるように「体系化」されたものを実践しています。

 

 

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施術者は行動医学療法の能力を持って、あらゆる行動やケアに力を注ぎました。具体的には、カウンセリング、CTR法、施術、自然療法を行いました。
その中でもCTR法では骨盤と頸椎を安定させ、脳脊髄液に働きかけて脳のストレスをとるように行いました。 

自然療法では、ジャーマンカモミールやペパーミントなどのハーブティーで胃腸への鎮痙、鎮痛作用への働きかけ、心にはゼラニウムやオレンジなどでリラックス方向への働きかけを行いました。
このような内容で内科通院と平行して、2週間に1回のサロンケアを継続しました。

 

 

【結果】

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①初診時は、うらみやねたみ、イライラする感情が噴出し、

   カウンセリングではとにかく不満を話し続け、

   表情もきつく、人を寄せ付ける感じではありませんでした。

   胃潰瘍も悪く通院・内服を20年近く続けていました。

 


②6ヶ月ほどたつと、ケア後数日は穏やかに落ち着くようになりましたが、

   次の2週間後にはまた元通りのイライラした状態に戻り、

   怒りと優しさが共存する状態でした。

   家族や友人との絶縁状態は続き、職場でのいじめやトラブルもおさまらず、

   孤独になる一方で、まさに「不幸のスパイラル」の中から

   なかなか抜け出せませんでした。

 


③1年位経過すると、今まで抑えきれず、

   コントロール出来なかった感情がスーッと落ち着き始め、

   不満の言葉が非常に減ってきました。

 


④やがて1年半をすぎると、穏やかな心が安定しはじめました。

   表情も明るく優しく変化し、生きることへの感謝の言葉が出るようになりました。

   その頃、胃潰瘍は治り20年来の内服も終了しました。

   周りから「変わったねー」と言われるようになり、絶縁状態だった家族や友人から、

   連絡を取ったわけでもないのに、向こうの方からひょっこり電話が入り、

   素直に謝る言葉が出て、人間関係がスムーズに修復しはじめました。

   自分に合った新しい仕事にも出会い、 まさに「幸福のスパイラル」が動き始めまし

   た。

 

 


【考察】

 

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最初に施術者そしてクライアントが同じ行動医学療法の【能力】を身に着けました。

そこからその能力は、すべての施術やケア、取り扱う自然療法に伝わっていき、

更なる相乗効果となってクライアントのストレスが緩和され「治る力・生命力が向上」してきました。

 


更にクライアント自身も前向きに取り組むようになった事によって、行動医学の能力を次第にマスターし、

その力が周囲に伝わって人間関係の改善や仕事の安定につながったと考えます。

このように施術者と、更にクライアントが共に身につける【能力】が重要であり、

そこからあらゆる療法に力が伝わることによって、現代医療の治療を更に効果的にする一助にもなったと考えます。

どんな病気やどんな治療法においても、行動医学療法で得る「能力」は伝わっていきホリスティックな相乗効果を得られると考えます。

  


【おわりに】

 

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行動医学療法の理論の中には、生理学や物理学などと共に、霊や魂、目には見えない「神秘の力」が含まれています。

また生命は一人一人違っていて、対応の仕方もさまざまです。
科学的根拠に基づく医療(EBM)の観点から見ると確かに科学的データには乏しいのですが、
日々クライアントと接する中で次々に改善事例が生まれています。

今後も行動医学療法や自然療法、現代医学との併用を続けていきながら、

医療現場での補完や人生におけるライフパートナーに適するようにその有用性の検証を続けて行きたいと思います。
ご清聴ありがとうございました。
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■討論
◎勢納八郎先生(城西病院)からご意見をいただきました。
勢納先生:私どもはコーチングを取り入れて患者さんの自発性を促すようなやり方をしていますが、

ただちょっと足りないなと自分たちで思っていることは、

コーチングの場合、ある程度自発性のある患者さんの場合はうまくいくのですが、

そうではない人にはうまくいかない場合があるので、こういった施術を続けることによって、

さほど自発性のない人でも、そこを拠り所にまた次のステップに行けるのではないかと思いました。
それとエビデンスが無いと言われましたが、霊とか何とか・・・という言葉を使うと

エビデンスが出しにくいと思いますが、別の言い方をするとエビデンスが出るのではないかと思いました。

 

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◎《座長》村田敏晃先生(村上華林堂病院)からご質問・ご意見をいただきました。

 

 


村田先生:施術者とクライアントが同じ能力をつけるという過程が大切だということですか?

入江  :そうです。施術者が与えるだけの医療ではなくて、施術者とクライアントが一緒に能力を身につけることによって、より相乗効果が出てくると考えて行っています。一方的に与えるだけではなくて、患者さんを中心にした行動医学ということを考えて行っています。

 

 


村田先生:その施術者の方は、資格であるとか、何かがあるのですか?

入江  :施術者みんなが同じ能力を持てるように、勉強会とか実技の練習をし合って能力を身につけるということを日々行っています。

 

 

 


村田先生:どれくらい費用とかはかかるんですか?

入江  :費用は、私のほうでやっているサロンケアでは一回の施術ケアを4000円でさせていただいています。

 

 


村田先生:4000円で2週間に1回ですか?

入江  :はい。この方の場合は2週間に1回でさせていただいています。

 

 


村田先生:この方の場合は一年以上通っておられますが、ずっと継続しないと難しい感じですか?

入江  :クライアントさんによって期間やスパンは違ってくると思いますが、この方の場合はあまり期間を開けてしまうと、また元の状態に戻ってしまうという状態があったので、あえて2週間に1回くらいのペースでいかがですか?ということをお伝えして、自発的に2週間に一回来てくださっていた感じです。

 

 

 

村田先生:もう少し安くなると通いやすくなるんじゃないかと思いますけど(会場内笑い)、これからも広げていただければと思います。どうもありがとうございました。

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(当日会場にて:左から古園井重敏先生、入江泰子、堤文子さん)
今回の発表をするに当たって、

共同研究をして下さった古園井重敏先生をはじめ堤文子さん、

SMC行動医学研究所の研究員の皆さま、関係者の皆さまに心より感謝申し上げます。

今回の発表で得た学びは、計り知れないほど有意義で大きなものだったと思います。
今後も行動医学療法の学びをより深められますよう、日々精進しながら検証を続けていきたいと思います。

貴重な経験をさせていただけました事を心より感謝申し上げます。

 

入江泰子

 

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