日本統合医療学会九州支部会 2015/5/15
【発表録】第1回日本統合医療学会九州ブロック学術講演会
2015年5月16日に開催された
【第1回日本統合医療学会九州ブロック学術講演会】での発表録を公開します。
【発表録】
さまざまな不調に内在するストレッサーの検証と可能性
〜SMC行動医学療法・自然療法による取り組み〜
SMC行動医学研究所 入江 泰子
(共同研究)古園井 重敏、堤 文子
一般演題3(座長:内藤病院 林田 繁先生)
2015年5月16日 熊本市国際交流会館
<日本統合医療学会ホームページ http://imjkyu-2015.umin.jp>
はじめに、人の心身は、肉体の各器官と心・精神のバランスの中で常に恒常性を保ちながら「健康」であろうとしています。
しかし、そこにストレスが加わると、生命の恒常性は簡単にかく乱されてしまいます。
人の生命を脅かす「ストレッサー」とは何なのか?
さまざまな不調に内在するストレッサーについて以下の仮説を立てて検証しました。
人がストレスを感じる心には、「自覚しているもの」と「自覚していないもの」があると考えました。
自覚してない無意識の領域では、「地球の変動・自然現象から受ける恐怖や不安など、
古来から持ち続けている「潜在意識」がストレッサーとして人の健康に影響しているのではないかと考えました。
そこで、「自覚しているストレッサー」と「自覚していないストレッサー」について比較検証を行いました。
ストレッサーの比較検証の方法です。
まず「クライアントが自覚しているストレッサー」について、30名を対象にアンケート調査を実施しました。
その結果、ストレッサーの内容を5つに分類してみると、
社会的ストレッサー・特に人間関係によるストレスが多いことがわかりました。
次にクライアントが自覚していないストレッサーを「脳—筋肉反射テスト」で確認しました。
「脳—筋肉反射テスト」は、オーリングテストに似ていますが、
脳に質問を投げかけた後の筋肉の反射によって、「Yes」か「No」で判定する方法です。
テストの結果、クライアントが自覚していないストレッサーには、
トラウマや自然界から受ける影響、世の中にうずまくネガティブの影響、
特定出来ない要因などがあることがわかりました。
次に、ストレッサーへの対応の方法です。
施術者とクライアントは、共に取り組み「成果」をめざします。
最初に次の事をクライアントに何度も伝えていきます。
ストレスには、自覚していない原因も存在し健康に影響していること。
ケアは施術者任せにするのではなく、クライアントも一緒に取り込む必要がある。・・・ということです。
そうすることで、クライアントの自発性を引き出し、治ろうとする意欲につながりやすくなります。
また日々の変動に対応する為に、継続することの重要性も伝えて行きます。
次にケアの実践です。
「SMC行動医学療法」によって、イメージ法、CTR法、手当、ロルフィング法などを行い、
さまざまなストレスに対し多角的に対応していきます。
ケアは、能力を身につけた施術者が行うと同時に、クライアントにも一緒に取り組んでもらうことがポイントです。
最後に自然療法によるサポートを行います。
五感・六感を通じて生命力を人に与えてくれる植物は、
「幸せに治る」という優しさを与えながら、改善に向けての相乗効果を発揮します。
このような経過でストレッサーへの対応に取り組みます。
この中で最も重要なのは<イメージ法>です。
少し具体的にご紹介します。
これは<非言語イメージ法>の一つで、「生命を育てる力」のマークです。
左が「成長の力」、右が「老化の力」を表現した形で、
陰陽のバランス・生命のバランスを整える力になります。
このマークを、手の平・手の甲にそれぞれイメージします。
良かったら会場の皆さんもご一緒にイメージしてみてください。
手の平に「成長の力」の形をイメージします。イメージの仕方は簡単です。
このマークが手の平の中に入ったと思えば大丈夫です。
同じように手の甲には「老化の力」の形をイメージしてみてください。
こうすることで、この手に能力が備わって行き、あらゆる症状やネガティブに多様性を持って働きかける手になります。
またこの手をクライアントと一緒に作っていくことによって「自然治癒力」をつける力にもなっていくと考えています。
これがSMC行動医学療法の最も重要な極意です。
症例です。
40代女性、4人家族です。
症状は、不眠や急激な肥満、深夜2時頃から下肢の冷えと激しい疼痛などがあります。
背景として、高校生の息子の寮生活が始まり、なぜか息子への恐怖心を抱くようになりました。
次にクライアントが「自覚していないストレッサー」について「脳−筋肉反射テスト」による検証を行いました。
するとクライアントが高校生の頃に指導者から受けたパワハラがトラウマとなっており、
未解決のままに潜在意識の中に残されている事がわかりました。
そのため、寮生活の息子の様子と自分のトラウマがシンクロし、恐怖心が生じていました。
また、住んでいる土地の磁場が悪く、
同じ土地に住む母親もクライアントと同じ症状に悩まされている事がわかりました。
結果です。
週に5日15分程度のケアを続け、自宅でもクライアント自身に取り組んでもらったところ、
2週目より症状が改善しはじめ、3ヶ月後には安定してきました。
また、同じ症状に悩んでいた母親も一緒に改善されてきました。
考察です。
人のストレスには、本人が自覚していない原因も内在しており、
それが恐怖や不安の引き金となって、様々な心身の不調を引き起こすと考えます。
自覚のあるストレッサーや症状には現代医学でのアプローチが有用です。
一方、「SMC行動医学療法」で取り組んだ結果、自覚のない領域にも有用で、
不調の改善にもつながることがわかってきました。
人の健康を維持する為には、自覚のないネガティブ要素の排出が必要であると考えます。
日々変化している生命に対し、クライアントと施術者が一緒に「能力」を作り、
継続的なストレスマネージメントを行うことがQOL向上につながると考えます。
今回の研究で検証した「自覚の無いストレッサー」への対応は、
ネガティブな状況や人に触れる機会が多い「医療関係者やセラピスト」にこそ必要な【マンパワー】であると考えます。
今後もクライアントの変化を見ながら検証を続けていきたいと思います。
【質疑応答】
■林田 繁先生(内藤病院)
これは、日ごろどのような場面で使うのですか?
⇒入江
日ごろから能力をつける勉強会を行っていて、能力を身につけた研究者がいろいろな場面で活用しています。例えば、サロンで活用していたり、学校の場で活用していたり、整骨院で活用していたりイロイロな場面で活用できる療法だと思います。
■林田 繁先生
脳—筋肉反射テストというのがありましたが、それは施術者が判断するんですか?
⇒入江
脳に語りかけることによって筋肉の反射が起こりますのでその反射を見て判断します。
⇒林田 繁先生
するとその方法を修得しないと難しいのですね?
⇒入江
練習は必要と思いますが、日ごろから能力を身につけるということを修得しながらその方法を身につけていくことになります。
■林田 繁先生
今日は午前中からガンの話しが多かったので、このように和む話しが聞きたかったんですけれども。
先生方がもっといらっしゃったら、実はさっきおっしゃったように患者さんに直接接している人たちの方がもっと潜在的ストレスが多いのではないかと思うので、本当はもっと多くの人に聞いていただきたいと思いました。ありがとうございました。
⇒入江
ありがとうございました。